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≪Interview≫ 災害時の避難行動や捜索活動に「ドローン」技術で手助けを コムシス情報システム
2021-02-22
システム開発会社のコムシス情報システムは、災害発生直後の人々の避難行動や捜索活動に「ドローン」を活用する新たなサービスを考案中だ。仙台市沿岸部でドローンを使った津波警報システムの実証実験を実施しているノキアとともに、災害の犠牲になる人を少しでも減らせるような「防災テック」の開発に挑んでいる。
▲オンラインで取材に応じたコムシス情報システムの岸上さん(左)と真柄さん(右)
ドローン技術を「防災」に役立てるサービス開発を目指して
品川を本社に、仙台、長野にも事業所を置くシステム開発会社、コムシス情報システム。仙台市BOSAI-TECHイノベーション創出プログラムに参加するのが、仙台事業所の岸上正秀さんと真柄知巳さんだ。岸上さんは「プログラムの案内をもらい、『防災』とテクノロジーを組み合わせたら何ができるんだろう?という興味で参加しました」。真柄さんは「東日本大震災から10年を迎えようとするタイミングでもあり、何か防災面でお役に立てないか、と思い参加しました」と話す。
同社のパートナーとなったのは、大手通信インフラ設備の製造・開発を行うノキアだ。5G時代の新たなサービスを開発したいノキアとコムシス情報システムの持つ技術を掛け合わせて何ができるのか考えたとき、軸になったのが「ドローン」だった。仙台市と連携協定を結ぶノキアは2019年から、ドローンのスピーカーで沿岸部の住民に大津波警報の発令を告知したり、ドローンからの空撮で沿岸部を監視したりする技術の実証実験を始めている。
そしてコムシス情報システムも、AIで企業の課題を解決する「AIJOソリューション」の一つとして、ドローンを使ったサービスを展開している。太陽光発電所のソーラーパネルなど大規模設備の点検の際、ドローンが空撮映像を撮影し、AIがその映像から点検箇所を解析することで、不具合や汚れを自動で検出してくれるという技術だ。両者の持つ「ドローン」分野での強みを活かし、このテクノロジーを「防災」に活用すべく、新規事業の企画がスタートした。
同社のパートナーとなったのは、大手通信インフラ設備の製造・開発を行うノキアだ。5G時代の新たなサービスを開発したいノキアとコムシス情報システムの持つ技術を掛け合わせて何ができるのか考えたとき、軸になったのが「ドローン」だった。仙台市と連携協定を結ぶノキアは2019年から、ドローンのスピーカーで沿岸部の住民に大津波警報の発令を告知したり、ドローンからの空撮で沿岸部を監視したりする技術の実証実験を始めている。
そしてコムシス情報システムも、AIで企業の課題を解決する「AIJOソリューション」の一つとして、ドローンを使ったサービスを展開している。太陽光発電所のソーラーパネルなど大規模設備の点検の際、ドローンが空撮映像を撮影し、AIがその映像から点検箇所を解析することで、不具合や汚れを自動で検出してくれるという技術だ。両者の持つ「ドローン」分野での強みを活かし、このテクノロジーを「防災」に活用すべく、新規事業の企画がスタートした。
▲コムシス情報システムの展開する「AIJOソリューション」( https://www.comjo.co.jp/aijo/aijo_index.html )
捜索活動や避難行動を助ける「防災テック」を
二人はドローンを使ったそれぞれの「防災テック」の開発に向けて動き始めている。
岸上さんが取り組むのは、災害時の「人の捜索」に活用できるサービスの開発だ。位置情報を発信する端末「ビーコン」を人々が日常的に携帯するしくみを作ることで、災害時に崩れた家屋の下などに人が閉じ込められてしまった場合にも、その位置情報を頼りに速やかな捜索が可能になるのではないかと考えている。被災した地域にドローンを飛ばしてビーコンの位置情報を素早く収集することで、捜索隊員の人々の捜索活動の手がかりとして活用したい考えだ。
人々が常に財布の中に入れたりアクセサリーにしたりできるくらいに「ビーコンがさらに小型化し、電波が強くなれば現実味を帯びてくる」と、岸上さん。「課題としては、平時にどのように普及させ、どんな機能を持たせるのか。収益面も含め、災害発生時以外でのサービス展開についてこれから詰めていきたいですね」と話す。
岸上さんが取り組むのは、災害時の「人の捜索」に活用できるサービスの開発だ。位置情報を発信する端末「ビーコン」を人々が日常的に携帯するしくみを作ることで、災害時に崩れた家屋の下などに人が閉じ込められてしまった場合にも、その位置情報を頼りに速やかな捜索が可能になるのではないかと考えている。被災した地域にドローンを飛ばしてビーコンの位置情報を素早く収集することで、捜索隊員の人々の捜索活動の手がかりとして活用したい考えだ。
人々が常に財布の中に入れたりアクセサリーにしたりできるくらいに「ビーコンがさらに小型化し、電波が強くなれば現実味を帯びてくる」と、岸上さん。「課題としては、平時にどのように普及させ、どんな機能を持たせるのか。収益面も含め、災害発生時以外でのサービス展開についてこれから詰めていきたいですね」と話す。
真柄さんが取り組むのは、災害発生直後の人々の避難行動に役立つサービスだ。災害の直後に各地にドローンを飛ばして現在の状況を空撮・送信するしくみをつくり、人々が自宅にいながら近くの状況をひと目で把握できるようなスマホアプリを開発しようと考えている。各地の詳細な地域情報を届けるには多くのドローンが必要になるが、将来的には各消防署や公民館などドローンを常設して災害時にすぐに飛ばし、遠隔から自動操縦できるようなしくみが作れないかと検討している。今後は市街地でのドローンの飛行規制やマネタイズなどの課題に対してどう取り組むのか、詳細を詰めていくという。
「災害が発生したとき、自分の住むまちに避難勧告が出たとしてもその範囲は広域で、自宅周辺がどうなっているのかという身近な情報が意外と手に入らないことに気付いた」と、アイデアの原点を話す真柄さん。「災害時の情報収集では、特に高齢者や子供など『情報を自分から取りに行けない人』もいる。離れて暮らす身内が災害時に避難を呼びかけられるよう、アプリにメッセージ機能を搭載することも考えています。災害時に周辺の画像を配信するサービスからスモールスタートして、次年度以降もコンテンツ増やしていき、事業として成り立っていけば理想ですね」
「災害が発生したとき、自分の住むまちに避難勧告が出たとしてもその範囲は広域で、自宅周辺がどうなっているのかという身近な情報が意外と手に入らないことに気付いた」と、アイデアの原点を話す真柄さん。「災害時の情報収集では、特に高齢者や子供など『情報を自分から取りに行けない人』もいる。離れて暮らす身内が災害時に避難を呼びかけられるよう、アプリにメッセージ機能を搭載することも考えています。災害時に周辺の画像を配信するサービスからスモールスタートして、次年度以降もコンテンツ増やしていき、事業として成り立っていけば理想ですね」
仙台の防災テック・コミュニティがうまく成長していけたら
通年プログラムでの事業開発を通じて、岸上さんは「防災というと国や市だからサービスを維持できるものだと思っていましたが、民間の事業として成立させている企業もあり、とても勉強になりました。他の参加企業やメンターさんとのやりとりで、サービスの弱点についての指摘を受けたり、面白い考え方から視野を広げさせてもらったりすることもできた。できれば来年も続けてみたいなと思っています」と振り返る。
真柄さんも「パートナー企業とのキャッチボールの中で、こんな機能をプラスすればこういうものもできるんじゃないか、という着想を得ることもあり、楽しかった。企画を立てる際の考え方やステップも学び、メンターとの意見交換では自信のないところを励ましてくれるのがありがたかったです。自分や自社だけで進めていると不安な部分があるので、第三者であるメンターの力は大きかったですね」と語る。そして、地域に対してこう期待を込めた。
「仙台市の地元企業は防災への意識が高い。仙台市が音頭を取って、この防災に関するコミュニティが将来にわたってうまく成長していくといいな、と思います。来年以降も『防災テック』を生み出していくような仙台市のしくみに関わっていけたら、と思っています」
真柄さんも「パートナー企業とのキャッチボールの中で、こんな機能をプラスすればこういうものもできるんじゃないか、という着想を得ることもあり、楽しかった。企画を立てる際の考え方やステップも学び、メンターとの意見交換では自信のないところを励ましてくれるのがありがたかったです。自分や自社だけで進めていると不安な部分があるので、第三者であるメンターの力は大きかったですね」と語る。そして、地域に対してこう期待を込めた。
「仙台市の地元企業は防災への意識が高い。仙台市が音頭を取って、この防災に関するコミュニティが将来にわたってうまく成長していくといいな、と思います。来年以降も『防災テック』を生み出していくような仙台市のしくみに関わっていけたら、と思っています」
▲コムシス情報システム仙台事業所
コムシス情報システム
https://www.comjo.co.jp/index.html
https://www.comjo.co.jp/index.html