インタビュー
「キッチンカーアプリ」で、炊き出し情報を共有できるしくみをつくる 株式会社コア
2021.02.19
災害発生直後からすぐに必要とされる「食の支援」。被災した地域ではボランティアによる炊き出しも展開されることになるが、支援者同士や行政との連携には課題が多く、煩雑な事務作業や余計な労力が発生してしまうことも少なくない。株式会社コア・東関東カンパニーの小山達也さんは、災害時に食の支援を行うキッチンカーの位置情報やメニューがひと目でわかるアプリを開発することで、より円滑な支援のしくみが作れないかと考えている。
災害時の「食」の課題を解決する新規事業を
東京に本社を置き、全国で多くのソフトウェアの受託開発を手掛けてきたコア社。自社製品の開発にも力を入れており、テレビ番組のテロップを作成するソフトウェア、行政向けの情報統制システム、地域の医療・福祉現場で共有できる電子カルテなど、幅広い業種に向けたITソリューションを開発、提供している。中でも近年注力しているのが、高精度の衛星測位システムGNSSの受信機「QZNEO」を用いたサービス開発だ。
「プログラムのお知らせをもらい、仙台で防災に関するビジネスを盛り上げていこうという動きがあることを知りました。QZNEOが災害発生時の通信に役立つ機能を持っていることもあり、弊社の技術や製品を使って何かできるチャンスかもしれない、と思ったんです」。小山さんはBOSAI-TECHイノベーション創出プログラムへの参加動機を、そう語る。
入社後は技術開発に長く従事し、最近では営業を担当している小山さん。新規事業を立ち上げた経験はなかったが、プログラム中のセミナーやメンターとの議論などを通じて事業開発に必要な視点や考え方を学んだ。パートナー企業は公益財団法人味の素ファンデーションに決定し、同団体と「災害時の食事や栄養面での課題解決」につながるITサービスの開発に着手することになった。
「プログラムのお知らせをもらい、仙台で防災に関するビジネスを盛り上げていこうという動きがあることを知りました。QZNEOが災害発生時の通信に役立つ機能を持っていることもあり、弊社の技術や製品を使って何かできるチャンスかもしれない、と思ったんです」。小山さんはBOSAI-TECHイノベーション創出プログラムへの参加動機を、そう語る。
入社後は技術開発に長く従事し、最近では営業を担当している小山さん。新規事業を立ち上げた経験はなかったが、プログラム中のセミナーやメンターとの議論などを通じて事業開発に必要な視点や考え方を学んだ。パートナー企業は公益財団法人味の素ファンデーションに決定し、同団体と「災害時の食事や栄養面での課題解決」につながるITサービスの開発に着手することになった。
災害時の「食の支援」を円滑化するサービス開発へ
サービス開発のためのヒアリングで小山さんがまず気付いたのは、災害時の情報のやりとりには予想以上に「紙」が使われているということだった。行政の現場では災害時に被災者の食生活や栄養状況を調査するアンケートを実施する際、アンケート用紙を郵送し、返送された内容を担当者が手でデータ入力しているという。小山さんは「まずはミニマムでできることから始めたい」と、作成者・回答者双方の負担を減らせるようなIT技術の導入を考案。ガイドラインを入力するとAIが自動でアンケートを作成するシステムや、webアンケートの併用、回答の筆跡をデータ化するシステムなどを具体策として提案した。
さらに小山さんが構想しているのが、キッチンカーを使い、災害時の食の支援を円滑化できるようなサービスだ。災害が発生した際に炊き出し支援を行っているキッチンカーがどの場所にあり、どんな食事を提供しているのかを把握できるアプリを作るというものだ。
炊き出しを希望するキッチンカーが平時にアプリ上で行政から許可を取っておくことで、支援者は災害時に行政との調整の手間を省いて速やかに活動が始めることができる。支援者同士がお互いの位置情報をリアルタイムで把握できれば、場所や食事内容が重なってしまうのも防げる。被災した人々にとっては炊き出し情報を知ることができるし、行政の担当者も、今どの場所でどんな食が提供可能なのかを把握することができる、というしくみだ。
コア社では運送業界用の点呼アプリも開発しており、これと同じ機能を搭載すれば、行政と支援者や、支援者同士のビデオ通話で直接コミュニケーションを取りながら連携を進めることも可能だ。
さらに小山さんが構想しているのが、キッチンカーを使い、災害時の食の支援を円滑化できるようなサービスだ。災害が発生した際に炊き出し支援を行っているキッチンカーがどの場所にあり、どんな食事を提供しているのかを把握できるアプリを作るというものだ。
炊き出しを希望するキッチンカーが平時にアプリ上で行政から許可を取っておくことで、支援者は災害時に行政との調整の手間を省いて速やかに活動が始めることができる。支援者同士がお互いの位置情報をリアルタイムで把握できれば、場所や食事内容が重なってしまうのも防げる。被災した人々にとっては炊き出し情報を知ることができるし、行政の担当者も、今どの場所でどんな食が提供可能なのかを把握することができる、というしくみだ。
コア社では運送業界用の点呼アプリも開発しており、これと同じ機能を搭載すれば、行政と支援者や、支援者同士のビデオ通話で直接コミュニケーションを取りながら連携を進めることも可能だ。
(コア社が運送業界向けに提供している点呼アプリ)
「ただ、このプログラムで学んだのは、災害ソリューションは『平時』にも使われていないと災害時に機能しない、ということでした」と、小山さん。日常でも使われるようなサービスを目指し、平時にはキッチンカーの位置やメニュー、栄養情報や今後の出店スケジュールがわかるアプリとして広めることで、災害時のプラットフォームとして定着させていきたい考えだ。小山さんは「この構想をもう少し詰めていき、次年度からプロトタイプ作りまで目指していきたい」と意気込む。
自社の技術で災害サービスを開発し、事例を作っていく
このプログラムに参加するまで、「防災に関する仙台市の取り組みを全く知らなかった」という小山さん。「いきなり防災に関するアイデアを出すというものだと、難しかったと思います。防災サービスの開発に関して、日常と災害時とを区別しない『フェーズフリー』という概念など、プログラムを通して軸となる考え方を学べました。参加企業の提案事業の精度も高く、企画力や提案力を感じました。私もこれからそういったところを磨いていけたら」と話す。
コア社が提供する衛生測位システムの受信機「QZNEO」は、地上の通信インフラが機能しなくなった際に、避難所でスマホやPCをつないで最新の災害情報を受信したり、その場だけのネットワークを提供したりできる機能を持つ。プログラムで得た学びをもとに、こうした災害に関する同社の技術を「もっと活用し、東日本地域で事例を作っていきたいですね」と笑顔で語った。
コア社が提供する衛生測位システムの受信機「QZNEO」は、地上の通信インフラが機能しなくなった際に、避難所でスマホやPCをつないで最新の災害情報を受信したり、その場だけのネットワークを提供したりできる機能を持つ。プログラムで得た学びをもとに、こうした災害に関する同社の技術を「もっと活用し、東日本地域で事例を作っていきたいですね」と笑顔で語った。
株式会社コア
https://www.core.co.jp/
https://www.core.co.jp/
BOSAI-TECH事業創出プログラム 関連記事
関係会員
-
株式会社コア
日本