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仙台BOSAI-TECHで取り上げられた防災課題をまとめてご紹介【2024年度版】

2024.12.10
仙台BOSAI-TECHの各種プログラムでは、現場の防災課題を意識的にフォーカスして、取り組みをすすめています。
ここでは、2024年度のプログラム内で、どのような防災課題が取り上げられたか、課題の視点からまとめてご紹介します。
関心のある課題に対して、どのような自治体がどんな視点で課題感をもっているか、企業がどのような解決策を提案しているかなど、ご参考にしていただければ幸いです。
≪目次≫

自治体からの提供課題

小中学校における実践的な防災教育(仙台市)

課題
仙台市教育局では、自助の力・共助の力を児童生徒に育むため、小中学校における「防災教育」に取り組んでいるが、防災訓練や事例を振り返りなどの現状の教育では、災害への危機感・切迫感を抱きにくく、実現したい内容・水準に至らないと課題視している。そのため、繁忙な教員が短時間で準備・対応可能な、実践的でわかりやすく適切な防災教育を学校現場で実現したい。
仙台BOSAI-TECHでの取り組み状況
株式会社宮城テレビ放送より、「映像を活用した防災教育教材の開発」の提案を受け、試作開発を実施。 詳細はこちら
参照リンク

同報系情報提供システムに関する通信方式(仙台市)

課題
仙台市では、災害時の住民への重要な情報提供手段として、防災行政無線による同報系情報提供システムを活用しているが、危機の経年劣化により更新が必要となっている。現在の仕組みでは、更新や整備にかかる費用が高額なため、更新にあたり、よりコストを軽減できる新たな技術・サービスを検討したい。
参照リンク

自治体防災部門の生の声(自治体座談会のテーマより)

災害時の情報伝達と避難誘導

課題
発災時に、観光客をはじめとする初めて土地を訪れる方や外国人など、さまざまな属性の方に正確な情報を伝え、スムーズで確実な避難誘導が実現できないか検討している。(松島町)

観光客の増加に伴い、土地に不慣れな方への情報伝達を課題視している。防災アプリの活用も考えているが、アプリはインストールしてもらわないと効果が十分に発揮できないため、より良い手段を模索中。(仙台市)
取り組み事例
アプリのインストールを必要としない、ウェブサイトを使用して対策している。具体的には、大型のデジタルサイネージや看板にQRコードを表示して、情報を掲載したウェブサイトを視聴してもらえるようにしている。(神戸市)

情報伝達を支える通信環境の整備

課題
情報伝達の基盤になる防災行政無線の整備を進めているなかで、戸別受信機や高圧受電設備などの備品・設備の管理方法、更新・老朽化や、効率的な管理方法が課題となっている。防災行政無線の構成や同様の情報が流せる防災アプリ・ウェブサービスとの連携について、他自治体でどのようにしているか、関心がある。(神戸市)

防災行政無線については今後の更新・維持コスト、市街地への情報伝達が課題。解決の一案として、IPDCの導入を検討しており、導入における課題を整理中。(仙台市)
取り組み事例
令和4年に防災行政無線を更新した際に、防災無線から各種SNSやメールで自動配信できるようにした。高齢者には防災行政無線やメールでの伝達が好評ではなかったが、テレビのデータ放送を活用して町の情報を配信するサービス「テレビ回覧板」が好評。(松島町)

参照リンク:イベント開催報告(アーカイブ動画)

自治体における共通課題と各自治体からのコメント

各自治体からの防災課題をまとめた「共通課題マップ」
自治体が共通で抱える防災・減災課題を、会員自治体へのヒアリング等を通じて仙台BOSAI-TECHにてまとめたものを「共通課題マップ」として作成しています。各課題に対する会員自治体からの補足コメントも併せて掲載していますので、以下URLよりぜひご覧ください。
「共通課題マップ」のダウンロードはこちら
ソリューション発表会「OpenBridge」
仙台BOSAI-TECHでは、「共通課題マップ」に対するソリューションを自治体向けにデモンストレーション形式で発表する、Open Bridge というプログラムを実施しています。

参照:仙台BOSAI-TECH Open Bridge 2024|防災現場の声を集めるソリューション発表会

企業提案の取り組み課題(実証実験支援/試作開発支援プログラム)

災害弱者向け避難支援(産電工業株式会社)

課題・提案概要
災害弱者(自ら避難できない、スマホ等から情報が得られない方等)は、災害発生時には適切な判断ができない可能性がある。これを解決するため、災害情報を確実に伝え、対象者の情報を送受信できる仕組みとして、高齢者見守りシステムを活用した災害発生時の情報通知と避難支援要請の実証実験を提案。

災害時の離島への物資輸送(株式会社JDRONE)

課題・提案概要
離島をもつ自治体では、災害時に海路が使えなくなってしまった場合、離島に居住する住民への物資輸送に課題となる。これらの課題を解決するため、長距離通信飛行が可能な「無人ヘリ」や、着陸することなく物資の切り離しが可能な「物資輸送用ドローン」を用いて、離島への物資輸送を実証することを提案。2024年11月に塩竃市と共同で実証実験を実施。

地盤沈下等の災害危険度判定(佐鳥電機株式会社)

課題・提案概要
地盤沈下や盛土の沈下などの測定、防潮堤や橋梁・高架等の異常の早期発見には、多くの場合、人手で実施しており、コスト・時間がかかっている。そのため、人工衛星による合成開口レーダー(SAR:Synthetic Aperture Radar)を使用して測量を自動化・解析データを収集することで、監視対象箇所の沈下/隆起状態から災害の危険度の算出を行うアプリ開発を提案。

沿岸部における津波避難誘導(Tsunami Balloon)

課題・提案概要
沿岸部では津波からの緊急避難所として、津波避難ビルを利用できるが、災害発生時により有効に活用するため、津波発生時にバルーン型避難標識を掲げることにより、指定緊急避難場所を視覚的に周知することを提案。「確実かつ簡便かつ素早い」方法で「バルーン型避難標識を津波発生時に自動で掲揚する」試作品を開発する。

通信途絶時における被災者への情報伝達(のどかサポート合同会社)

課題・提案概要
大規模災害発生時、携帯電話通信網が途絶され、避難行動に支障をきたすことが想定される。この課題を解決するため、「ナローキャスト放送」と「スマホ同士の無線通信リレー」を組み合わせた「同報系情報提供システム」を新たな情報伝送路として提案。これにより、自治体からの情報をテレビの放送電波を用いて専用受信機へ伝送し、専用受信機付近にいる人のスマホから、スマホ同士でリレーしながら被災者への情報伝達が可能となるものとして、試作開発を行う。

映像を活用した防災教育教材の開発(株式会社宮城テレビ放送)

課題・提案概要
学校内で実施する防災訓練は画一的なものになりやすいため、生徒が居住する地域の特性をより踏まえた防災教育を実施する必要がある。そこで、児童・生徒が、防災知識を体験し、震災状況での居住する地域の特性に応じて、高い防災知識を身につけてもらうことを目的とした防災教材コンテンツの制作を提案。

参照リンク:企業からの成果報告書

上述の実証実験や試作開発については、実施背景や狙い、実施内容やその結果まで、事業者が作成した成果報告書をご覧いただけます。(2025年3月頃掲載予定)
NEWS&REPORT【事例・インタビュー】

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