関係者インタビュー
「防災」を国際標準化し、震災の教訓を発信 東北大学災害科学国際研究所・今村文彦所長
2022.01.31
10年前の東日本大震災で、未曾有の被害を経験した仙台市。その仙台市からいま、世界の災害に活用できる防災技術「防災テック」を生み出していくことにどんな意義があるのか。仙台市の「防災テック」事業のパートナーとして提携する、東北大学災害科学国際研究所の今村文彦所長にその展望や期待をインタビューした。
「被災地」と「支援拠点」双方の経験を世界へ
2011年、東日本大震災が仙台を含めて東日本、また各地に被害を及ぼしました。そのときに得た教訓、得られた経験を今後の防災や減災に結び付けなければいけません。特に、仙台は当時、被災地だけではなく「支援する場所」としてさまざまな教訓を得ております。それは国内外の今後の災害に対して非常に貴重な情報となると思いますので、そのような活動を推進していただきたいと思います。
防災・減災を推進するためには、最初に災害のリスクの評価が必要です。そのためには「予測技術」というテクノロジーが必要になります。その後、被害を推定したり、また推定された被害を小さくさせる、ここでもテクノロジーが必要です。例えば、揺れに対して建物を強くする、津波に対して防潮堤を作る、またドローン等で情報を集約する。これらすべて、減災に繋がるものは技術、つまり「防災テック」を適用して推進する必要があります。
防災・減災を推進するためには、最初に災害のリスクの評価が必要です。そのためには「予測技術」というテクノロジーが必要になります。その後、被害を推定したり、また推定された被害を小さくさせる、ここでもテクノロジーが必要です。例えば、揺れに対して建物を強くする、津波に対して防潮堤を作る、またドローン等で情報を集約する。これらすべて、減災に繋がるものは技術、つまり「防災テック」を適用して推進する必要があります。
「防災テック」を国際標準化し、さらなる普及を
今後防災テックで期待できることとしては、やはりさまざまな防災情報をいち早く集約して、一人ひとりに情報を丁寧に提供いただくこと。それによって、我々は避難などの色々な対応行動を取ることができます。また事前にさまざまな建物の耐震化や津波を防ぐ対策などをすることができ、災害の軽減が期待できると考えます。
そして技術をさらに普及するためには「標準化」が必要となります。「防災」を国内だけでなく、国際的に標準化することによって、防災テックは非常に幅広く運用されるようになると思います。それによって産業が生まれ、新しいビジネスとなる。そうすれば「防災」への期待が高まり、防災の技術がより幅広く、継続的に運用されることになると思います。
*注:東北大学災害科学国際研究所は、防災関連の製品やサービスに対する新たな国際標準規格「防災ISO」を設置することを国際標準化機構(ISO、本部:スイス・ジュネーブ)に提案しており、2023年の発行を目指している。
そして技術をさらに普及するためには「標準化」が必要となります。「防災」を国内だけでなく、国際的に標準化することによって、防災テックは非常に幅広く運用されるようになると思います。それによって産業が生まれ、新しいビジネスとなる。そうすれば「防災」への期待が高まり、防災の技術がより幅広く、継続的に運用されることになると思います。
*注:東北大学災害科学国際研究所は、防災関連の製品やサービスに対する新たな国際標準規格「防災ISO」を設置することを国際標準化機構(ISO、本部:スイス・ジュネーブ)に提案しており、2023年の発行を目指している。
学術的な研究の成果を、社会に役立つ技術に
仙台市のBOSAI-TECHイノベーション創出促進事業と我々の災害科学国際研究所は、強く連携する必要があると思います。この研究所というのは、当時の東日本大震災の経験や教訓というのを学術的に多彩な分野で整理しております。そこでの課題であったり、テーマというのを防災テックの中で実際に社会で役立つものとして展開していただきたいと思います。
それをまた広く国内外に伝える、さまざまな評価をする、このような役割が研究所にあると思います。仙台市の防災テック事業と研究所が連携することによって、その活動の価値が非常に高まると期待しています。
それをまた広く国内外に伝える、さまざまな評価をする、このような役割が研究所にあると思います。仙台市の防災テック事業と研究所が連携することによって、その活動の価値が非常に高まると期待しています。
東北大学災害科学国際研究所
https://irides.tohoku.ac.jp/
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