BOSAI-TECH発の実証実験事例
バルーンを用いた指定緊急避難場所への避難誘導の検証
2023.03.22
実証実験サポートプログラム2022年度第2期において、
Tsunami Balloon (東北大学大学院 津波工学研究室 成田峻之輔)が、 津波発生時の指定緊急避難場所への誘導を目的とし、
避難先の方向や距離を直観的に把握するための情報媒体として、専用バルーンの活用を目指し、検証を行いました。
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Tsunami Balloon (東北大学大学院 津波工学研究室 成田峻之輔)が、 津波発生時の指定緊急避難場所への誘導を目的とし、
避難先の方向や距離を直観的に把握するための情報媒体として、専用バルーンの活用を目指し、検証を行いました。
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1.背景と課題
津波災害の指定緊急避難場所(津波避難ビル等)は,危険が切迫した状況で身を守る場所として重要な役割を持つ.
しかし,土地勘のない来街者や避難先を事前に把握していない住民にとって,時間的余裕が十分にない状況で避難先を迅速に判断することは難しく,避難意思があっても適切な避難行動が取れないことが懸念される.
そこで,本プロジェクトでは津波発生時の指定緊急避難場所への誘導を目的とし,避難先の方向や距離を直観的に把握するための情報媒体として,専用バルーンの活用を検討する.
しかし,土地勘のない来街者や避難先を事前に把握していない住民にとって,時間的余裕が十分にない状況で避難先を迅速に判断することは難しく,避難意思があっても適切な避難行動が取れないことが懸念される.
そこで,本プロジェクトでは津波発生時の指定緊急避難場所への誘導を目的とし,避難先の方向や距離を直観的に把握するための情報媒体として,専用バルーンの活用を検討する.
2.実証実験の実施内容
本実証実験では,専用バルーンによる避難誘導が可能な範囲を推定するべく,専用バルーンの視認性を調査した.
仙台市沿岸部の温泉複合施設(アクアイグニス仙台)にて専用バルーンを設置し,施設の来訪者や従業員に「バルーン自体に気づいた地点」と「垂れ幕の文字を読み取れた地点」を回答してもらうことで,視認距離を推定した.
さらに,専用バルーンの掲揚条件(高さ・垂れ幕)を変更し,各条件の違いによる視認性への影響を調べた.また,1週間の実験期間を通して風耐性やヘリウムの消耗等の維持管理についても検討した.
仙台市沿岸部の温泉複合施設(アクアイグニス仙台)にて専用バルーンを設置し,施設の来訪者や従業員に「バルーン自体に気づいた地点」と「垂れ幕の文字を読み取れた地点」を回答してもらうことで,視認距離を推定した.
さらに,専用バルーンの掲揚条件(高さ・垂れ幕)を変更し,各条件の違いによる視認性への影響を調べた.また,1週間の実験期間を通して風耐性やヘリウムの消耗等の維持管理についても検討した.
3.実証実験結果
専用バルーンの視認性の検証結果から,過半数の人がバルーンの存在に気づくのは,バルーンの設置地点から約500m~1kmの距離範囲であることが推定される.
一方で,従業員(バルーンの設置を事前に告知した群)では約150mの距離範囲で過半数の人が垂れ幕の文字を読み取れたが,来訪客(バルーン設置を事前に告知しなかった群)の場合はアンケート回答時点で文字を読み取っていない人が約半数であった.
このことから事前の周知無しでは,専用バルーン掲揚の意図を認識されない可能性があることがわかった.
一方で,従業員(バルーンの設置を事前に告知した群)では約150mの距離範囲で過半数の人が垂れ幕の文字を読み取れたが,来訪客(バルーン設置を事前に告知しなかった群)の場合はアンケート回答時点で文字を読み取っていない人が約半数であった.
このことから事前の周知無しでは,専用バルーン掲揚の意図を認識されない可能性があることがわかった.
4.今後の展開
本実証実験では視認性の検証のみにとどまったが,社会実装には主に4つのハードルがある.
1. 悪天候時(強風・雨・雪)に弱い
2. 照明・蓄光等による夜間対応
3. 掲揚等の無人化・自動化
4. ヘリウムガス調達
今後,これらの課題を解決する上で必要な手法を検討する.
また,これらの課題に対する対策の一環として,3月以降行う追加実験では,より軽量なゴム製バルーン(ガス使用量が今回の1/5以下)とインフレータブルバルーン(送風機を利用して立ち上げるタイプ)を利用し,同様に視認性を調査する.
それらの視認性の検証結果と社会実装までの課題解決可能性を鑑み,最適な運用方法を検討する.
また,専用バルーンによる避難時の行動選択への影響も調べるために,VR空間での避難シミュレーションも実施する.
1. 悪天候時(強風・雨・雪)に弱い
2. 照明・蓄光等による夜間対応
3. 掲揚等の無人化・自動化
4. ヘリウムガス調達
今後,これらの課題を解決する上で必要な手法を検討する.
また,これらの課題に対する対策の一環として,3月以降行う追加実験では,より軽量なゴム製バルーン(ガス使用量が今回の1/5以下)とインフレータブルバルーン(送風機を利用して立ち上げるタイプ)を利用し,同様に視認性を調査する.
それらの視認性の検証結果と社会実装までの課題解決可能性を鑑み,最適な運用方法を検討する.
また,専用バルーンによる避難時の行動選択への影響も調べるために,VR空間での避難シミュレーションも実施する.
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関係会員
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東北大学 災害科学国際研究所
日本