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BOSAI-TECH発の実証実験事例

無人航空機を用いた離島への物資輸送

2025.03.07
  • 株式会社JDRONE
  • ロボティクス、ドローン
  • 実証実験/試作開発支援プログラム
実証実験/試作開発支援プログラム において、
株式会社JDRONEが、災害発生時に交通インフラが断絶し、孤立する恐れのある離島への物資輸送のため、無人航空機(大型ドローン)を用いた実証実験を実施しました。
1.背景と課題
【課題】
● 災害発生時には交通インフラが断絶し、孤立する集落が発生した場合、時間経過とともに食料等の物資が枯渇する。

【解決方法】
● 無人航空機(大型ドローン)を用いて物資輸送を行う。
 ー無人航空機は重量物を搭載できる無人ヘリを用いる(ペイロード約30kg)。
 ー機体との通信は、衛星通信とLTE通信の多重化された通信方式を用いる事で、安定性、耐災害性を確保した長距離通信(飛行)が可能。
2.実証実験の実施内容
宮城県塩竈市にて、本土から浦戸諸島の朴島(ほおじま)へ、無人航空機(大型ドローン)による物資輸送を実施。
無人航空機は、従来まで離発着場所に操縦者の配置が必要であったが、新たに自動着陸機能を追加したことで、受け手側の作業を最小限とした。また、朴島区長にも参加いただき、実際の災害に近い状況を想定しての実証実験を行った。

【日程・場所】
● 2024年11月3日(日)
● 塩竈市北浜緑地公園

【検証項目】
1.通信遅延、途絶等なく飛行が可能か。
2.物資の搭載、受渡しはスムーズ行えるか。
3.往復に要した時間、燃料消費等を算出し、1日の物資運搬量を確認する。また、それは朴島住民にとって十分な量になるか。
4.自動離発着機能は安全に運用できるか。
5.災害発生時は、物資の受け手側に作業員は配置できない。朴島住民は安全に物資を回収できる体制を構築できるか。
3.実証実験結果
【総評】
● 物資25㎏を積んだ無人航空機(大型ドローン)で、往復23kmの航路を飛行し、朴島への運搬に成功。
● 25kgの物資は、食料換算で島民の約1.5日分となる。一日で6~8往復フライトが可能でり、島民の9~12日分の物資運搬が可能。

【検証結果と考察】
1.LTE/衛星通信とも飛行に影響の出る遅延、途絶は見られなかった。
2.物資の搭載:機体の振動による荷崩れを防ぐ為、物資をラップで包む必要があった。かごの形状含め、より効率の良い方法の検討が必要。
  物資の受渡し:スムーズに行えたが、取外しの際は高温になるマフラーに接触しない様、注意が必要。
3.往復にかかる飛行時間は約35分、ガソリン消費は3.4L以下。ペイロード30kgの場合、燃料搭載量は6L~7Lとなり、往復フライト可能。
  ー約60分で1往復フライトが可能であり、1日6~8時間の作業とした場合 1日に運搬できる物資は150~200kg。
  ー1フライトでアルファ米5kg(50食分)、水12L、炭6kgを運搬。人口11名の朴島において、約1.5日分の物資を運ぶことが可能。
  -よって、1日で島民の9~12日分の物資を運搬できる。
4.仕様上、風速5m/s以下で運用可能。実証当日、朴島はほぼ無風であり、設定した着陸地点に問題無く自動着陸ができた。
  機体の測位システムにPPP(Precise Point Positioning/高精度単独測位) を用いた為、測位誤差が小さい事も寄与している。
5.人口や着陸地点の地形を考慮すると、第三者が着陸地点に進入する可能性は極めて低い。
  災害時には、区長との連絡が取れる状況で、離発着時の監視や物資の取り外しなど多少の補助をお願いできれば運用は可能。
4.今後の展開
● 塩竈市との無人航空機(大型ドローン)実装に向けた協議の実施。
● 他自治体と災害時の物資輸送に関する協定締結に向けた協議を開始。コスト面も、物資輸送ルート策定や実証を行う為の予算獲得を目指す。
● 大型ドローンを運用する他企業との連携による、防災体制構築の強化を目指す。
 ー具体事例として、同じ機体を運航している日本航空/奄美アイランドドローンと共に熊本県総合防災訓練への共同参加。
● 官民の連携体制を整え、機体の配備数も増やし、大規模災害への対応力強化を目指す。

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