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【開催レポート】Future Awards 2025|第3回「気候変動対策・脱炭素領域の課題を知る」

2026.02.27
  • Future Awards
  • BOSAI-TECH事業創出プログラム
≪ 実施概要 ≫
 ● イントロダクション
 ● 現場視察
   - 災害物資備蓄倉庫 ▶ 災害物資の蓄えと発災時の物資搬入・搬出
   - 太陽光発電設備  ▶ 平時の利活用と災害時の電源確保
 ● 質疑応答・参加者意見交換会
イントロダクション:脱炭素先行地域としての取り組み
BOSAI-TECHの概要説明に加え、仙台市環境局の担当者から環境領域における取り組みが共有されました。
仙台市は全国に102ある脱炭素先行地域の1つとして、「109万市民の”日常”を脱炭素化」を掲げ、ゼロカーボンシティの実現に向けた全国に展開できる脱炭素化モデルの創出に取り組んでいます。 当日は、既存住宅への太陽光パネルや蓄電池導入による防災性向上の事例が紹介されました。さらに、今年度からは気候変動リスクを踏まえた防災・環境技術の実証を行い、地元企業の育成や新ビジネス創出にも繋げていく方針が説明されました。
災害物資備蓄倉庫:効率だけでは測れない運用のリアル
はじめに視察したのは、仙台市立荒町小学校に設置されている災害物資備蓄倉庫です。
荒町小学校は、仙台市内に195箇所ある指定避難所の1つであり、災害発生時には地域住民の避難所として運営されることが想定されています。そのため、校内には災害時に必要となる物資があらかじめ備蓄されています。
倉庫内には、400〜450人の2日分の食料や水をはじめ、毛布やカイロなどの防寒用品、季節ごとの備品、発電機材などが保管されています。食料品は4年ごとに更新されており、仙台市では、市内195箇所の指定避難所について、市の職員2名体制で1年かけて点検を行っているとの説明がありました。人の手による点検を続けている理由として、「指定避難所ごとに保管場所や管理方法が異なるため、データだけでは把握できない」という説明がありました。
資料上のチェックであればAIによる管理も可能ですが、「どこに、何が、どの状態で置かれているか」を把握するためには、実際に備品を動かしながら確認する必要があるという説明は、現場ならではの課題を示していました。効率だけでは割り切れない中でも、いざという時に必要な物資を揃えておく。そんな備えを維持しようとする市の姿勢が伝わってきました。
太陽光発電設備:日常の電源利用が、そのまま災害対応につながる仕組み
次に、荒町小学校の屋上に設置された太陽光発電設備と、体育館内の蓄電池システムを視察しました。
環境局の担当職員からは、「防災対応型太陽光発電システム」について説明が行われました。このシステムは、太陽光発電と蓄電池を組み合わせることで、停電が長期化した場合でも、避難所運営に必要な電力を供給できる仕組みです。仙台市では、指定避難所を含めた199箇所に同様の設備が設置されています。設置費用は1拠点あたり約3,000万円。2012年から導入が進められており、全国的にも先進的な取り組みであることが紹介されました。
荒町小学校では、4階建て校舎の屋上に4基の太陽光発電設備が設置されており、ここで発電された電力は、構内配線を通じて体育館倉庫内に設置された蓄電池に蓄えられます。災害時には、この蓄電池から体育館内の照明や、避難所運営に必要な最低限の設備へ電力が供給されます。視察に参加した他自治体の職員からは、「具体的な設置費用を共有してもらえたことで、自分たちの自治体における導入イメージを持つことができた」といった、率直な意見も聞かれました。
続いて体育館へ移動し、非常用照明2基のみを点灯した状態を体験しました。
参加者は、限られた電力の中で確保できる避難所の明るさを実際に確認し、災害時の環境を具体的にイメージしていました。その後、体育館倉庫に設置されている蓄電池設備を視察しました。この蓄電池は非常時専用ではなく、平時には学校施設の電力使用のピークを抑える「ピークカット」としても活用されています。いつ起こるかわからない災害への備えが、日常の電源として使われているという事実は、防災と脱炭素の取り組みが地続きであることを実感させるものでした。
その後は、市の担当職員から、災害発生時における避難所の設置・運営についての説明が行われました。椅子やテーブルの設置場所、避難者の誘導方法、避難者数の把握や集計方法など、避難所運営の実務について踏み込んだ説明があり、体育館が避難所として機能する具体的なイメージを、参加者それぞれが思い描いていました。
質疑応答・参加者意見交換会:現場を見たからこそ生まれた具体的な問い
市民センターに戻った後、質疑応答に先立ち、危機管理局減災推進課の担当者より、東日本大震災の教訓を踏まえた「仙台市における避難所運営の考え方」について説明が行われました。地域・市・施設・避難者が協働する「避難所運営委員会」の体制により、地域主体の運営が推進される一方で、担い手不足や地域住民の平時からの活動負担といった現場の課題も共有され、いかにその負担感を減らしていくかという視点の重要性が強調されました。
続いて行われた質疑応答では、参加者からの質問に対して、市の職員が一つひとつ丁寧に回答しました。「太陽光発電以外の非常電源の確保は検討していないのか」「避難所にペットを連れてきた場合、どのような対応になるのか」といった、現場を実際に見たからこそ生まれた具体的な質問が多く挙がっていました。
続く意見交換会では、参加者から感想が述べられました。
旅行業からの初参加者は、「インバウンドや留学生が増えている中で、安心して来てもらえるように、まずは自分自身が現状を把握したかった。現実を知ることで、正確な情報を発信できると感じた」と話していました。また、過去に他のBOSAI-TECH関連プログラムにも参加したことがある企業からは、「会社として脱炭素の取り組みを進めている中で、今回追加された『気候変動対策・脱炭素領域』というテーマに強い関心を持った。防災・減災に加え、脱炭素の視点が加わったことで、自社の取り組みと重ねて考えやすくなった」という声が聞かれました。
それぞれの立場からテーマに向き合い、具体的な気づきを得る機会となったことがうかがえました。
最後に仙台市からは、「現場に潜在している課題を、ぜひ民間企業の視点からも挙げてほしい。BOSAI-TECHは、産学官が強く連携できる場でありたい」という呼びかけがあり、参加者は深くうなずいていました。その後の交流会では、参加者同士が活発に名刺交換を行い、分野を越えた交流が生まれていました。
以上、1月28日(水)に開催しました Future Awards 2025 第3回「気候変動対策・脱炭素領域の課題を知る」のご紹介となります。

仙台BOSAI-TECHでは、防災・減災および気候変動対策・脱炭素におけるソリューションの創出や事業化・社会実装を支援する各種プログラムを今後も開催してまいりますので、ご興味・ご関心のある方は、ぜひ当サイトを引き続きご覧いただけますと幸いです。

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